ボランティア
「今日は今年初めてのデートだったんだ」
「そうみたいだね」
「で、なんで会ったか聞いたら、暇つぶしだと言われた」
「馬鹿だな。そんなの真にうけるのか」
「違うのか」
「違うに決まってるだろ」
「でもな、押せなかったな」
「押さなくてよろしい。お前は暴走する」
「余生だしな」
「生産的なこと、活動的なことはしないという悟りは、実に良い」
「そうか。執筆に悩まなくてもいいか」
「悩む意味がない」
「霊界は変わったことはあるか」
「いや、結局、世俗を上から眺めているだけさ。ポスト安部とかね」
「物理的実態がないから病気にならないな」
「まあ、量子という実態はあるけどね」
「心臓、どうなるんだろう」
「安静だ。オナニーはするな。危険だ」
「セックスもか」
「当り前だ」
「それにしても馬鹿になったな」
「そうだな。本当に馬鹿になったな」
「守護霊の力で何とかならないか」
「まあ、お前次第だ。お前がこうやって俺の相手をしていれば回復する」
「そうか。でも、もう世俗は良いんだ。知能は回復して欲しいが」
「精神科の薬で脳がやられてしまったんだ。諦めろ」
「おいおい、さっき回復するって言ったじゃないか」
「そうだったな、まあ、自分次第だ。気楽に生きろ」
「ありがとう。気楽に生きるよ」